青汁劇場が示したものは、個人の感情や転落劇を劇化して配信する「ナラティブ(物語)型マーケティング」の恐るべき破壊力でした。社会心理学の観点から見れば、完璧な成功者よりも、一度罪を犯して地に堕ち、そこから泥臭く這い上がろうとする人物像に対して、人間は強い感情移入を覚えます。弱さを露悪的にさらけ出し、自虐や過激な行動を織り交ぜることで、オーディエンスとの間に一種の疑似的な共依存関係を構築したと言えます。
しかし、この手法は誰にでも再現できるような生易しい施策ではありません。個人の人生そのものをコンテンツとして切り売りする手法には、耐え難い精神的損耗と破滅的な社会的リスクが伴います。
自己演出による炎上マーケティングは、劇薬です。一時的に圧倒的なアテンションを獲得できる反面、一度失った社会的信用を公的な場で取り戻すには、何倍もの歳月とコストを要することを見落としてはなりません。