近年の殺し屋映画は、従来の「無口な男の復讐劇」という単一のフォーマットを完全に脱却し、多様な切り口でエンターテインメント性を高めています。
第1に注目すべきは、女性暗殺者を主軸に据えた作品群の飛躍的進化です。リュック・ベッソン監督の古典『ニキータ』から始まり、シャーリーズ・セロンが骨身を削る生々しい格闘を披露した『アトミック・ブロンド』、そして韓国発の『悪女/AKUJO』やNetflix独占配信の『キル・ボクスン』に至るまで、身体的ハンディキャップを技術・機転・感情の起伏で補う緻密なアクション設計が観客の支持を集めています。
第2に、殺し屋コメディ映画の隆盛です。『Mr.&Mrs. スミス』のような夫婦間の秘密バトルや、デヴィッド・リーチ監督作『ブレット・トレイン』(伊坂幸太郎原作)のように、個性派の殺し屋たちが運命の悪戯で東京発の高速列車に乗り合わせるアンサンブル・コメディは、重くなりがちなテーマを極上のポップコーン・ムービーへと昇華させました。
第3に、1発の銃弾にすべてを賭けるスナイパー映画の傑作群です。クリント・イーストウッド監督の『アメリカン・スナイパー』や、元海兵隊の凄腕狙撃手が国家の陰謀に立ち向かう『ザ・シューター/極大射程』など、スコープ越しに広がる静寂と極限の緊張感は、通常の銃撃戦とは一線を画す独自の心理サスペンスを提供しています。