日本列島に生息するクマは、北海道に生息するヒグマと、本州および四国の一部に生息するツキノワグマの2種に大別されます。環境省のモニタリング調査や各自治体の林野統計を照合すると、47都道府県におけるクマの定着状況は明確に色分けされます。
まず、島嶼部である沖縄県には歴史上、野生のクマが生息した記録はありません。海によって隔絶された島しょ環境特有の生態系が形成されてきたためです。そして、西日本の中核をなす九州全7県(福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島)においても、現在は野生個体群が完全に消滅した地域として分類されています。
最も多くの人が驚きを示すのが、広大な山林を抱える本州において千葉県が唯一「ツキノワグマの生息地が存在しない県」であるという事実です。隣接する東京都の奥多摩山系や神奈川県の丹沢山地、茨城県北部の阿武隈高地周縁にはツキノワグマの定着が確認されているにもかかわらず、房総半島だけが空白地帯として取り残されています。