ブランドへの関心が高まる一方で、多くの購入検討者を躊躇させるのが「ガトードボワイヤージュ まずい」というネガティブワードです。星野リゾートや老舗料亭などでも見られる現象ですが、知名度が高いブランドほど「失敗したくない」という消費者の防衛心理が働き、ネガティブワードで事前に検索される傾向があります。しかし、実際の口コミや味覚評価を精査すると、そこには商品の物理的特性と保存環境に起因する明確なギャップが存在していました。
第一の要因は、名物である「パイカスター」の極めて繊細な水分移行スピードです。パイカスターの最大の魅力は、何層にも折り重なった発酵バター香るパイ生地の「パリッとした軽快な食感」と、中の濃厚なカスタードクリームのコントラストにあります。しかし、パイ生地は湿気に極めて弱く、購入してから食べるまでの時間が空いてしまったり、湿度の高い環境に置かれたりすると、クリームの水分を吸って生地がしんなりと重くなってしまいます。
取材に応じたスイーツ愛好家は当時の落胆を次のように吐露しています。
「テイクアウトして帰宅後に食べた際、パイのサクサク感が失われて油っぽさだけが口に残ってしまった。あの出来立ての感動を知らない人がこれを食べたら、『重くてまずい』と誤解してしまうのも無理はない」
第二の要因は、フランス伝統菓子ならではのクラシカルで力強い甘みです。ガトー・ド・ボワイヤージュは、本場フランスの製菓哲学に根ざしたリッチな配合を守り続けています。昨今の日本のスイーツ市場を席巻する「甘さ控えめ」「口溶けの軽さ」「低糖質」を至高とするトレンドと対比した際、バターのコクやキャラメリゼのビターな甘さが際立つ仕立てを「甘すぎる」「くどい」と感じてしまう層が一定数存在します。これらは品質の欠陥ではなく、食べるタイミングのズレと味覚の志向差が生んだミスマッチに他なりません。