『心の旅』の歌詞は、冒頭のあまりにも有名なフレーズ「あゝ だから今夜だけは 君を抱いていたい / 明日の朝 僕は汽車に乗る」から始まります。サビから一気に感情を揺さぶるこの構成は、当時の歌謡曲やフォークソングの常識を覆す斬新なアプローチでした。
歌詞に描かれているのは、愛する恋人を残して夢を追うため、早朝の汽車で都会へと旅立つ青年の切なくも決意に満ちた一夜です。上京する若者の孤独、別れの予感、そして夢にかける野心が、無駄のない研ぎ澄まされた言葉で描写されています。
一見すると純粋なラブソングでありながら、深層には「地方から東京へ打って出る若者たちの普遍的な焦燥感」が投影されています。財津自身が福岡・博多から上京した際の実体験や心象風景が色濃く反映されており、単なる感傷にとどまらない骨太なリアリティが、当時の若者たちの胸を強く打ちました。