本件に対する住民の反応は、世代によって大きく割れる。2026年2月と3月に開かれた住民説明会の参加者および、地域情報紙やSNSに投稿された声を総合すると、次のような構図が浮かび上がる。
「賛成」の声に共通するのは、役場窓口そのものへの不満だ。現庁舎は駐車場が狭く、バリアフリー化が十分でないため、高齢者の間にも「行くのが大変だから、むしろコンビニで手続きできる方が楽」という実利的な声がある。実際、2026年度の住民アンケートでは、回答者の約62%が「オンライン手続きの拡充」を肯定的に捉えていた。この数字だけ見れば、デジタル移行への抵抗は小さいように映る。
一方で、強く反対する層は「図書館」と「対面窓口」の縮小に集中している。ある70代の女性は説明会で「本を借りるついでに職員と世間話をするのが週に一度の楽しみ。それがなくなったら、人と会う理由がなくなる」と発言し、SNSでも共感を集めた。この発言は、行政サービスを「機能」ではなく「居場所」として利用している住民の実情をよく表している。高齢化率39.2%というデータの裏には、単身世帯や配偶者と死別した高齢者の「社会的孤立」という、数字には出にくい課題が横たわっているのだ。
さらに、ネット掲示板では「役場が勝手に進めてる」「住民無視だ」という投稿も散見されるが、これは正確ではない。町は2026年度から計9回の説明会と4回のパブリックコメントを実施しており、手続き上は住民参加の形を取っている。問題は、その「参加の質」である。説明会の議事録を精査すると、質疑応答の多くが「既に方針が固まった後の説明」になっており、住民から出された代替案が本格的に再検討された形跡は薄い。形式的な参加と実質的な合意形成の間に、埋めがたい溝がある。