手編み初心者が最もつまずきやすい関門は、編み上がった前後のパーツを最後に縫い合わせる「とじ・はぎ」の作業です。平編みで長方形を編んでから両端を巻きかがると、継ぎ目がゴロゴロして不格好になったり、引き加減がずれてシルエットが歪んだりしてしまいます。この最大の挫折ポイントを一瞬で消し去る裏技こそが、棒針編み輪針ニット帽というアプローチです。
選ぶべき道具は、コードの長さが全長40cmの輪針(8号〜10号前後)です。一般的な60cmや80cmの輪針では帽子の円周に対してコードが余りすぎて編めませんが、40cmサイズであれば大人用の頭囲(約54〜58cm)に完璧にフィットします。針をぐるぐると同じ方向に回しながら筒状に編み進めるだけで、継ぎ目が一切存在しないシームレスな美しい仕上がりが約束されます。
さらに驚くべきは、編み図なし手編み帽子を可能にする構造のシンプルさです。基本の設計は極めてミニマルで、頭の周囲に合わせた目数を作り、好みの深さ(折り返しなしで約20cm、折り返しありで約26cm)に達するまで「表目と裏目を交互に編む1目ゴム編み」を筒状に続けるだけです。複雑な記号図とにらめっこする必要はなく、テレビを見ながらでも均一な編み地を形成できます。