神保町・駿河台下に位置する御菓子処さゝまは、創業から90年以上の歴史を刻む江戸・東京和菓子の重鎮です。ガラガラと木製の引き戸を開けると、外の喧騒を忘れさせる落ち着いた空間が広がり、手入れの行き届いた木製ショーケースには端正な和菓子が美しく並べられています。
同店の代名詞とも言えるのが、松の葉をかたどった小ぶりで上品な「松葉最中(まつばもなか)」です。一般的な最中と一線を画すのは、その圧倒的な「後味のキレの良さ」にあります。厳選された小豆を丹念に炊き上げた餡は、しっかりとした甘みとコクを持ちながらも、口に含んで後半になるとスッと引いていき、嫌な甘ったるさが一切残りません。香ばしく焼き上げられた極薄の最中種(皮)との一体感は、まさに職人技の結晶です。
もともとは茶道の上生菓子やお干菓子を専門としていた背景もあり、一つひとつの御菓子に込められた美意識とバランス感覚は別格です。派手な宣伝を行わず、本物の味を実直に守り続ける姿勢こそが、時代を超えて熱烈なファンを魅了し続ける原動力となっています。