『ピタゴラスイッチ』を観た誰もが抱く最初の疑問が、「テレビのジョンは生き物なのか、それとも機械なのか」という点です。公式な造形設定および番組内の描写を紐解くと、彼の正体は「テレビの機能を持つ犬のキャラクター」として位置づけられています。
外見はクラシックなブラウン管テレビそのものですが、頭部にはパタパタと動く犬の耳が生えており、背面からはしっぽのような電源コードが伸びています。画面には黒い鼻と目が映し出され、ピタやゴラに呼ばれると「ワン!」と吠えたり、四つの小さな脚でトコトコと駆け寄ったりと、極めて忠実なペットのように振る舞います。
この独創的な元ネタ・設定の背景には、東京藝術大学名誉教授であり本番組の企画・構成を主導した佐藤雅彦氏と、クリエイティブ集団「ユーフラテス(EUPHRATES)」による徹底したメディアデザイン思想が存在します。子どもにとって無機質な家電である「モニター」に、親しみやすい「犬(ジョンという定番の愛犬ネーム)」のメタファーを与えることで、画面を通じて提示される論理的思考や抽象的な概念を、心理的抵抗なく受け入れさせるための教育的装置として生み出されたのです。