番組の台本など、最初から存在しなかったのかもしれない。カメラが回るやいなや、遠野は矢口の目を見据えて「あなた、本当はあのとき死にたかったでしょ」と切り込んだ。普通のバラエティなら、笑いで濁すか、当たり障りのない返答で逃げる場面だ。しかし、矢口は一瞬だけ視線を落とし、「毎日、消えてしまいたかった」と静かに返した。この瞬間に、番組はただのエンターテインメントから、ドキュメンタリーへと変貌を遂げた。
テレビというメディアがどこか冷めた目で見られる時代において、この二人が放った熱量は異常だった。互いに異なる痛みを抱えながらも、根底にある「世間からの拒絶」という共通の体験が、彼女たちを強く結びつけているようだった。