『君の膵臓をたべたい』浜辺美波の抜擢理由と桜良が残した涙の軌跡

『君の膵臓をたべたい』浜辺美波の抜擢理由と桜良が残した涙の軌跡

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『君の膵臓をたべたい』の撮影が行われたのは2016年の秋。当時の浜辺美波は16歳の高校1年生(2017年7月の劇場公開時は16歳、翌月に17歳の誕生日を迎える直前)でした。2011年の「第7回東宝シンデレラオーディション」でニュージェネレーション賞を受賞して芸能界入りしたものの、本作に出会うまでは爆発的な知名度を得るには至っていませんでした。

映画化にあたり、山内桜良という「死を目前にしながらも底抜けに明るく振る舞う」という難役のキャスティングは難航を極めました。月川翔監督や企画プロデューサー陣が複数の若手女優と面談を重ねる中で、浜辺美波が放つ異質とも言えるオーラが制作陣の目を釘付けにしました。当時の制作関係者が語った記録によると、彼女は自己アピールが得意なタイプではなく、むしろ面接の場でもどこか控えめで、媚びる姿勢が一切ありませんでした。

監督陣を決定づけたのは、演技審査後の食事の席でのワンシーンでした。食事中に口にしていたガムをティッシュに包み、周囲の目を気にしながらそっと捨てるタイミングを探していた彼女の不器用でピュアな所作に、監督は「嘘のない純粋さ」を確信したと語っています。作られた明るさではなく、内面に静かな強さと脆さを併せ持つ浜辺のパーソナリティが、命の期限を知りながら笑顔で他者を包み込む山内桜良のリアリティと完全に重なり合った瞬間でした。

森 瞳
著者

森 瞳

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