かつては沖縄や九州の一部でしか見られなかったはずのキノコが、いまや関東や東北の市街地でも日常の光景になりつつある。背景にあるのは、2026年に入り一段と激しさを増した夏の異常気象だ。連日の猛暑日で地中深くまで温められた芝生に、夕方のゲリラ豪雨がたっぷりと水分を注ぎ込む。この高温多湿のサイクルは、熱帯性菌類にとってまるで実験室のインキュベーターのような理想郷を作り出す。
一夜明けると、サッカー場や公園の芝生にミステリーサークルのような輪を描いて無数の白い傘が立ち並ぶ。「フェアリーリング(菌輪)」と呼ばれるこの現象は、時に直径数メートルにまで広がる。都市の緑地管理者は頭を抱えている。刈り払っても数日で再び生え揃い、胞子を周囲へ撒き散らすからだ。