仮囲いの向こう側でクレーンがゆっくりとアームを旋回させている。現在進行形で進む大規模リニューアル工事。施設の老朽化に伴い、隣接地に新たな展示棟を建設する計画が発表された当初、建築界や長年のファンの間には小さくない動揺が走った。既存のガラスドームはどうなるのか。あの崇高なエントランス体験は損なわれてしまうのではないか、と。
だが、現場に立つと印象は変わる。既存のガラスドームを保全・活用しながら、ランドスケープ全体を再編する設計思想は、谷口建築への敬意を失っていない。人工物と東京湾の水面がひと続きに見えるあのインフィニティの視覚効果は、30年以上が経過した今も色褪せるどころか、年輪を重ねた木々とともに凄みを増している。過去を破壊して新奇さを追うのではなく、歴史を地層のように重ねていく試み。現場から響く鈍い槌音は、再生への鼓動そのものに聞こえる。