フエダイの仲間を手にした釣り人が真っ先に懸念するのが、熱帯・亜熱帯の魚介類に蓄積される自然毒「シガテラ毒」の存在です。フエダイ科の魚類には、大型肉食魚のバラフエダイ(厚生労働省により販売自粛・有毒魚指定)のように、食物連鎖を通じてシガテラ毒素を体内に蓄積する危険種が実在します。この知識が断片的に伝わった結果、「ヨコスジフエダイにも毒があるのではないか」という不安が生じがちです。
結論から明示すると、日本国内で漁獲されるヨコスジフエダイによるシガテラ中毒の公式発症事例は確認されていません。水産庁や地方自治体の水産試験場が公開している毒性データにおいても、ヨコスジフエダイは無毒の食用魚として分類されています。成魚でも全長30cm前後に留まる小型〜中型のフエダイであり、生態系上位の超大型個体のように高濃度の毒素を生体濃縮するリスク構造を持たないことが科学的な理由です。
ただし、釣り上げた現場で注意すべき物理的リスクは存在します。フエダイ科特有の硬く鋭利な背鰭(せびれ)や鰓蓋(えらぶた)の棘です。毒針ではありませんが、誤って指に刺すと雑菌が入り化膿することが多いため、フィッシュグリップとプライヤーを用いた安全な針外しを徹底してください。