二十世紀梨を見かけなくなった真相とは?2026年現在の産地と旬の選び方

二十世紀梨を見かけなくなった真相とは?2026年現在の産地と旬の選び方

二十世紀梨を見かけなくなった真相とは?2026年現在の産地と旬の選び方についての真相をご紹介します。

「子どもの頃に食べたあの爽やかな梨をもう一度食べたいのに、売り場には茶色い梨ばかりが並んでいる」——青果売り場を訪れた多くの消費者が抱く違和感の背景には、冷酷なまでに進んだ生産現場の構造転換があります。

農林水産省の果樹生産出荷統計を紐解くと、二十世紀梨の国内生産量は1980年代後半のピーク時には年間約13万トンを超え、全国の日本なし生産シェアでトップを争っていました。しかし、2020年代半ばから2026年に至る現在の全国収穫量は約1万5,000トン前後にまで縮小しています。最盛期の10分の1強にまで減少した計算であり、一般の量販店で遭遇する確率が激減したのは紛れもない事実です。

二十世紀梨を見かけなくなった理由として、現場関係者や青果バイヤーは主に3つの構造的要因を挙げます。

第1の要因は、平成から令和にかけて急速に進んだ「糖度至上主義」による赤梨の台頭です。「幸水」や「豊水」、近年圧倒的な人気を誇る鳥取県の独自品種「新甘泉(しんかんせん)」に代表される赤梨系は、糖度が13度から14度前後に達し、酸味が極めて少ないという特徴を持ちます。「とにかく甘いフルーツ」を求めるマス市場の嗜好変化に伴い、酸味とのバランスを身上とする青梨の二十世紀梨は、一般スーパーの仕入れ担当者から敬遠されがちになりました。

第2の要因は、生産者の高齢化と人手不足です。後述するように、二十世紀梨は病気から実を守るために幼果期から2回にわたる手作業の「袋かけ」を必須とします。1本の樹に何百個、何千個と実る梨に一つひとつ手作業で紙袋を掛けていく作業は、高齢化した農家にとって極めて重い身体的負担となりました。その結果、袋かけの手間が少ない、あるいは不要な新品種の赤梨へと果樹の植え替え(高接ぎ更新)を決断する農家が相次いだのです。

第3の要因は、流通チャネルの劇的な棲み分けです。生産量が減少した鳥取県産二十世紀梨は、安売り合戦が繰り広げられる大衆スーパーの棚から撤退し、百貨店や専門店の「お取り寄せギフト」、ふるさと納税の返礼品、さらには台湾や香港などアジア諸国への富裕層向け輸出ルートへと主戦場を移しました。「見かけなくなった」と感じる最大の理由は、流通の主軸が日常の対面売り場から姿を消した点にあります。

林 結菜
著者

林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。