劇場版第27作の公開直後から、検索エンジンやSNSのタイムラインを激震させたのが「怪盗キッド 服部平次 親戚の真相」というキーワードでした。平次とキッドに隠された血筋の繋がりがあるのかと多くのファンが色めき立ちましたが、結論から言えば服部平次と怪盗キッド(黒羽快斗)に直接の血縁関係はありません。
この誤解が広まった構造的背景には、映画ラスト数分間で投下された原作30年目の超特大スクープが存在します。劇中で明かされたのは、新一の父である工藤優作と、キッドの父である黒羽盗一が、「両親の離婚によって離れ離れになった双子の兄弟」であるという真実でした。つまり、工藤新一と怪盗キッドこそが正真正銘の「実のいとこ(従兄弟)」同士だったのです。
平次は物語中盤、函館の刀剣争奪戦の中でキッドのシルクハットとモノクルを真剣で両断し、素顔のキッドと至近距離で対峙しています。平次自身が「工藤に顔がそっくりやないか」と戦慄し、観客側でも平次・新一・キッドの3者が入り乱れる構図が強調された結果、情報伝達の過程で主語がすり替わり、「平次とキッドが親戚だった」という誤った言説が一部で独り歩きしてしまいました。
平次にとってキッドは、親戚どころか過去の「妖精の唇(フェアリー・リップ)」事件において和葉に変装され、あわやキス寸前まで騙された忌むべき宿敵です。キッドに対して並々ならぬ私怨と対抗心を燃やし続ける平次の立ち位置は、血縁の判明によって揺らぐどころか、より複雑でコミカルな緊張関係へと深化しています。