原作コミックス全19巻のクライマックスにおいて、読者が最も息を呑んだのは「二人の恋の行方」でした。結論から明確に言えば、原作漫画の最終回で神崎直と秋山深一が恋人同士になったり、結婚したりする描写はありません。
物語の終盤、四国・四阿(あずまや)の地で繰り広げられた「入札ポーカー」を経て、ライアーゲーム事務局の正体とその真の目的が暴露されます。事務局が仕掛けた壮大な実験は、人間が極限状態で「疑い合うのか、それとも信じ合うのか」を試すものでした。母・美智子を自殺へと追いやった巨大マルチ「集英商事」への復讐のために26歳で巨悪を破綻させ、人間不信の塊となっていた秋山は、神崎直の無防備なまでの正直さに触れる中で、自身の心の闇を清算していきます。
最終第19巻のラストシーンで描かれたのは、日常へと戻っていく登場人物たちの姿です。秋山は直に対して特別な情愛を匂わせる劇的な告白をすることもなく、直もまた「秋山さん」と慕いながらも依存から脱却し、一人の自立した女性として歩き出します。安易に「くっつく」という少女漫画的カタルシスを排し、「信じることの尊さ」という作品の根本哲学を貫いた結末こそが、原作『LIAR GAME』が名作と称えられる所以です。