現在のファイナルステージのレギュレーションでは、リーグ覇者に「1勝のアドバンテージ」と「全試合主催権(本拠地開催)」という2つの特権が与えられています。6戦4勝制(アドバンテージの1勝を含む)であるため、王者は実質3勝すれば突破できるのに対し、下位チームは4勝しなければなりません。引き分けの場合も上位チームが優位となる規定が組み込まれています。
これほど強固なバリアが敷かれているにもかかわらず、なぜ番狂わせが起きてしまうのか。そこには短期決戦における「日程の罠」という制度上の盲点が存在します。
ペナントレース終了後、ファーストステージを戦わない優勝チームには約1週間から10日間の試合間隔(ブランク)が発生します。打撃は「水物」と呼ばれ、投手の生きた球を打席で見ない期間が長引くほど、動体視力やタイミングのズレが生じやすくなります。一方の挑戦者側は、ファーストステージの修羅場をくぐり抜けて移動してくるため、戦闘モードが持続しています。
もし初戦を挑戦者に奪われてアドバンテージの「貯金」を吐き出すと、対戦成績は1勝1敗の五分。この瞬間、王者は「アドバンテージを失った」という強烈な心理的焦燥感に苛まれ、試合の主導権を一気に明け渡してしまう構造的脆弱性を抱えているのです。