改元が近づく時期や大きな政局の節目になると、5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)やSNS、まとめサイトなどで「政府関係者から次の元号候補リストが流出した」「次は『安◯』で内定している」といった扇情的な投稿が定期的に拡散されます。しかし、公文書管理と保全の実態を取材してきたジャーナリズムの視点から言えば、これらは100%事実無根のデマゴーグです。
政府の元号選定チームは、内閣官房の限られた中核官僚のみで構成され、候補の原案が記された専用用紙はスタンドアローンの金庫で厳重に物理管理されています。外部ネットワークから遮断されたオフライン環境下で作業が進められ、委嘱を受けた学者にも最高レベルの守秘義務が課せられます。仮に事前流出が確認された場合、内閣は即座にその候補を永久欠番として除外する内部規定を設けているため、ネット上に事前流出することは論理的にあり得ません。
また、歴史認識に関しても以下のような「よくある誤解」が散見されます。
- 誤解1:「大化から現在まで、一度も途切れず元号が続いている」
→ 真相:大化の後、白雉へと続いたものの、孝徳天皇崩御後の斉明天皇・天智天皇の治世では元号が用いられない「空白期」が30年以上存在しました。元号が完全に定着したのは西暦701年の「大宝」以降です。 - 誤解2:「明治以前からずっと元号は1人の天皇に1つだった」
→ 真相:前述の通り、江戸時代までは同一の天皇の治世下で天災や火災を理由に5回以上改元されるケースも珍しくありませんでした(例:後水尾天皇の在位中は「元和」「寛永」など複数存在)。 - 誤解3:「元号に使われる漢字は自由に選べる」
→ 真相:歴代248元号で使用された漢字は、実はわずか73文字しかありません。「永」(29回)、「元」(27回)、「天」(27回)、「安」(17回)など、縁起の良い特定の文字が繰り返し組み合わされて使われてきた歴史があります。