本作の大きな魅力は、単なる善悪では割り切れない多面的な人間描写にあります。大学の化学科を舞台に繰り広げられる人間模様の核となる登場人物を整理します。
小山美来(おやま みらい):
幼少期から容姿を理由に過酷ないじめを受け、大学進学を機に大規模な美容整形を決意。「整形の痕跡がバレて陰口を叩かれるのではないか」という怯えを抱えながらも、他人の痛みに寄り添える純粋な心を持っています。
坂口慧(さかぐち けい):
誰もが見惚れる圧倒的な美男子。裕福な家庭で育ちながらも複雑な家庭環境に苦悩しており、他人の容姿で態度を変える人間を激しく嫌悪します。美来の中学校の同級生であり、彼女の整名前の素朴な優しさと本質を最初から理解している唯一無二の理解者です。
斉藤スア(さいとう すあ):
美しく可憐な「天然美人」。周囲の男性からのちやほやをエネルギーにして生きており、整形によって美しさを手に入れた美来に対して底知れぬ嫌悪感と敵対心を燃やします。無自覚な悪意と計算高さで周囲を翻弄する本作のキーパーソンです。