潮風が吹き抜ける岬の丘に、そのモダンな建築は佇んでいる。長崎市最南端の野母崎地区。眼前に広がる東シナ海の蒼い水平線と、遥か沖合に浮かぶ世界文化遺産・端島(通称:軍艦島)のシルエット。日本国内に数ある自然史博物館の中でも、これほどまでに圧倒的なロケーションを誇る施設は他に存在しない。
2021年の開館から歳月を重ねた2026年現在、この場所は単なる休日のお出かけスポットにとどまらない。東アジアにおける白亜紀末期の陸生生態系を読み解く上で、世界中の研究者が注目を寄せる一大研究拠点へと深化を遂げた。かつて「九州で恐竜化石は出ない」とまで言われた定説を覆し、太古の生命の鼓動を現代へと伝える前線基地として機能している。