團十郎の現在を語る上で欠かせないのが、かけがえのない2人の子供たちの目覚ましい成長です。2017年6月に乳がんで逝去した小林麻央さんが命を削って遺した愛情は、父・團十郎の手によって大切に育まれ、確かな才能として結実しています。
長男の勸玄は、父の團十郎襲名と同時に「八代目市川新之助」を襲名。中学生となった現在は、舞台上での堂々たる台詞回しと見事な見得で観客を圧倒するまでに成長しました。かつて幼少期の密着番組で見せた無邪気な少年から、成田屋の次代を担う若き歌舞伎役者としての自覚がその表情に宿っています。
一方、長女の麗禾は日本舞踊の名跡「四代目市川ぼたん」として早くから舞の才能を発揮。近年ではドラマや舞台での演技力が高く評価され、表現者としての幅を大きく広げています。思春期を迎えた2人の個性について、團十郎は自著やインタビューの中で「親の押し付けではなく、自分自身の意志で表現の道を選び取ってほしい」と語っており、伝統芸能の厳格な世襲制度の中にありながら、個人の意思を尊重する現代的な教育方針を貫いています。