外見上は精強そのものに見える部隊ですが、隊員たちの日々の勤務と生活は極めて過酷な規律と緊張の中に置かれています。若手警察官の間で「最も体幹と精神力が鍛えられる場所」と囁かれる空港特命警備隊の採用基準と評判、そして宿舎での日常とはどのようなものなのでしょうか。
警備隊に配属される隊員の多くは、各都道府県警察で機動隊員としての適性を認められた20代前半から30代前半の若手巡査・巡査長です。選抜基準には強靭な体力、柔道・剣道などの武道段位、射撃精度、そして何よりも長時間の単調かつ過酷な警戒に耐えうる「高い精神的持久力」が求められます。
現場取材や隊員OBの手記から浮かび上がる成田空港警備隊の寮と勤務環境は、まさに「現代の兵舎」と呼ぶにふさわしいストイックな世界です。隊員たちの多くは、空港敷地近隣に整備された巨大な専用単身寮(通称・警備隊宿舎)で生活を送ります。
勤務は当番・非番・日勤などを繰り返す交代制勤務ですが、24時間365日、広大な空港敷地の監視塔、外周フェンス、エプロン(駐機場)のパトロールを雨天・酷暑・厳冬問わず継続します。OB隊員の一人は当時の特番インタビューで次のように語っています。
「冬の滑走路脇の吹きさらしは、骨の髄まで冷える。何も起きないのが当たり前であり、最高の結果。だが、その『何も起きない状態』を1秒も気を抜かずに維持し続けることこそが、警察官として最大の試練だった」
閉鎖的な寮生活と厳しい訓練に対して、若手警察官の間では「厳しい環境だが、全国から集まった同期との結束力は一生の財産になる」「機動隊員としての基礎を極限まで叩き込まれる最高の修行道場」という評判が定着しています。厳格な規律を保つための寮生活では、プライベートの外出制限や点呼が徹底されており、その精神的負荷は一般警察署の勤務をはるかに凌ぎます。