エンクローズ溶接は、厳格なプロセス管理のもとで施工されます。一般社団法人エンクローズ溶接協会や日本建築センターの性能判定基準(BCJ評定等)に準拠した施工フローは次の通りです。
ステップ1:鉄筋端部の加工・清掃とルート間隔の確保
接合する鉄筋端面を直角に切断し、ミルスケール(黒皮)、サビ、油分、泥などの不純物をディスクグラインダー等で完全に除去します。鉄筋相互の隙間(ルートギャップ)は10mm〜15mmの適正範囲にセットします。間隔が狭すぎると溶け込み不良を招き、広すぎると溶着金属量が増大して過剰熱入力の原因となります。
ステップ2:銅製裏当て材のセット
溶融池(プール)を形成し、溶けた金属が漏れ出るのを防ぐため、鉄筋下部および側面に専用の銅製裏当て材を隙間なく密着・固定します。銅は熱伝導率が極めて高く、アーク熱でも溶融金属と融着しない特性を持つため、裏ビードを均一かつ平滑に成形するダムの役割を果たします。
ステップ3:予熱およびアーク溶接(積層充填)
外気温や鋼材種別(高強度鉄筋など)に応じて、急冷割れを防ぐためのガスバーナー予熱を実施します。その後、炭酸ガス(CO2)または混合ガスをシールドガスとして噴出させながら、専用のソリッドワイヤを用いて開先底部から多層盛り溶接を行います。スラグ巻き込みを防ぐため、層ごとの確実なスラグ除去と運棒コントロールが必須です。
ステップ4:裏当て材の脱離・自然冷却・外観確認
溶接完了後、規定の温度まで放熱した段階で銅製裏当て材を取り外します。水冷などによる急冷は焼きが入って脆性組織(マルテンサイト)を生成し脆性破壊を招くため、必ず自然空冷を徹底します。アンダーカット、オーバーラップ、表面ピットがないか目視で確認します。