トンボが狙った獲物を仕留める捕食成功率は95%以上とされ、百獣の王ライオン(約25%)を圧倒する驚異的な数字を記録しています。この超高精度な狩りを成立させているのが、桁外れの動体視力です。
光の点滅を見分ける指標である「フリッカー融合頻度」において、人間は1秒間に50〜60回程度の点滅で光が繋がって見えます(テレビや映画が滑らかに見える理由です)。対するトンボは、1秒間に200〜300回もの光の点滅を識別可能です。人間が認識する映像の約4倍以上のハイスピードカメラのような時間感覚で生きているため、人間が素早く手を出しても、トンボの目にはあくびが出るほどゆっくりとしたスローモーションに映っています。
さらに、巨大な複眼の間には三角形に並ぶ3つの「単眼(小眼)」が備わっています。単眼は形を見分けることはできませんが、光の明暗を極めて速い伝達速度で脳に送る機能を持ちます。空の明るさと地面の暗さを比較して水平線を感知する「高精度な生体ジャイロセンサー」として働き、急旋回やホバリングを行う際も瞬時に飛行姿勢の乱れを補正しています。