感情が爆発しそうになったり、理由もなく焦燥感に駆られたりする背景には、東洋医学でいう「気(エネルギー)」の滞りと逆流があります。漢方の古典理論において、ストレスを受けると自律神経系や感情のコントロールを司る「肝(かん)」の機能が緊張し、気が上半身へ突き上げる「気逆(きぎゃく)」や、気の流れが停滞する「気滞(きたい)」が起こるとされています。これが、加味逍遙散でイライラが鎮まる理由を紐解く最大の鍵です。
気の滞りが長期化すると、体内に余分な熱がこもります。この熱が頭部に昇ることで、カッカとした怒り、顔のほてり、頭痛、多汗が引き起こされます。加味逍遙散は、ベースとなる「逍遙散」に、熱を冷ます作用を持つ生薬である「柴胡(サイコ)」や「山梔子(サンシシ)」、「牡丹皮(ボタンピ)」を配合した処方です。これにより、滞った気を巡らせながら頭部に上がった熱を強力にクールダウンさせます。
臨床の現場でも、漢方24番が自律神経のアンバランスから生じるパニック感や情緒不安定、理由のない不安感に対して処方されるケースが目立ちます。血の巡りを整える当帰(トウキ)や芍薬(シャクヤク)も同時に含まれているため、精神的な高ぶりを抑えるだけでなく、身体の内側から緊張を緩めて安定した状態へと導いてくれます。