産褥期の痛みをコントロールする上で、医学的アプローチの中心となるのが会陰切開の痛み止めとしてのロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム水和物)の活用です。プレママの中には「母乳に移行して赤ちゃんに悪影響が出るのではないか」と薬を敬遠し、歯を食いしばって痛みに耐える方が少なくありません。
しかし、国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」の公式知見や周産期薬理学のデータによると、ロキソプロフェン等の非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は母乳中への移行率が極めて微量(乳児の摂取量は母親の投与量の0.1%未満)であり、授乳中であっても安全に使用できる薬剤として位置付けられています。胃腸障害やアレルギーがある場合はアセトアミノフェンが代替処方されます。会陰切開の痛みの和らげ方として最も推奨されるのは、「痛みが限界に達してから飲む」のではなく、「退院後数日間は痛みの波が来る前に用法・用量を守って規則的に服用する」ことです。痛みの神経経路が感作されるのを防ぎ、結果として必要な服薬総量を減らすことにつながります。
加えて、産後24〜48時間の急性期には、清潔なタオルで包んだ保冷剤を会陰部に軽く当てる「局所アイシング」が有効です。炎症による浮腫を抑え、神経伝導速度を遅らせることで、鋭い拍動痛を速やかに鎮静化させることができます。産後3日目以降は逆に血行を促進させて組織再生を促すステージへと移行するため、冷やしすぎず保温を心がけるのが回復を早める王道です。