母体の保護にとどまらず、妊娠中のワクチン接種にはもう一つ、医学的に極めて大きな利点があります。それは、「母体で作られた抗体が胎盤を通じて赤ちゃんへと移行する」という仕組みです。
新生児や乳児はインフルエンザにかかると急性脳症や重篤な呼吸障害を引き起こす危険がありますが、現行のワクチンは生後6ヶ月未満の乳児に対して接種することができません。つまり、生まれたばかりの無防備な赤ちゃんは、自分自身でワクチンを打って身を守る手段を持たないのです。
しかし、母親が妊娠中(特に妊娠中期から後期)に予防接種を受けておくと、臍帯血を通じて質の高い免疫グロブリン抗体(IgG)が胎児にしっかりと送り込まれます。これにより、誕生から生後約6ヶ月間にわたって、赤ちゃんは母親から譲り受けた強力な抗体によって守られ続けます。生後初期の重症化入院リスクを半減させるという確固たる臨床データもあり、これこそがプレママが赤ちゃんへ贈ることができる最初の、そして最大の健康上のギフトと言えます。