こうした労働の病理は、エンターテインメントの枠を超えて映像世界でも苛烈に描かれている。グローバルな労働現場における文化摩擦と無秩序な合理化を捉えた調査報道ドキュメンタリーの傑作として知られるのが、Netflixで配信されアカデミー賞を受賞した『アメリカン・ファクトリー』だ。経営陣の厳しい生産性要求の陰で、怪我や疲労に苛まれる労働者の姿は観る者に強烈な衝撃を与えた。
HBOが手がける上質な社会派ドラマでも、巨大企業の裏側で押しつぶされる末端の労働者たちの苦闘がリアルに描写されている。スクリーンに映し出される虚構のような悲劇は、決して他人事ではない。私たちが生きる日常のすぐ裏側に存在する現実そのものだ。