企業側の視点に目を向けてみよう。当時のブックオフは、電子書籍の普及やデジタル化の波に直面し、「古本屋」からの脱却を迫られていた。トレカ、家電、アパレル、ブランド品――取扱商品の多角化をいかにして消費者に伝えるか。それが至上命令だった。
そこに投入されたのが「本がない」という逆説的なキャッチコピーと、寺田心の圧倒的な演技力だった。広告は大当たりし、リユース総合ショップとしての認知度は一気に跳ね上がった。単なる知名度アップにとどまらず、企業のビジネスモデルの転換を力強く牽引した成功例として、マーケティング業界でも今なお高く評価されている。