アジアの通貨覇権と為替レートの行方を読み解くうえで、いま注視すべきは中央銀行トップの動向だ。中国人民銀行の潘功勝行長は、景気下支えに向けた柔軟な金融緩和スタンスを維持しつつも、過度な人民元安を阻止するための為替介入手段を周到に準備している。
対する日本銀行の植田和男総裁は、長年にわたる異次元緩和からの脱却を着実に進め、金利のある世界への移行を慎重に舵取りする。緩和的な姿勢を崩さない中国人民銀行と、正常化へと歩みを進める日本銀行。両者の金融政策の方向性のズレが、外国為替市場において人民元と日本円のボラティリティを刺激し続けている。
マクロ経済の地殻変動は、観光客やビジネスパーソンが両替所で目にするレート盤の数字へと直結している。両中銀の発表ひとつで、2000元の換算価値は瞬く間に数百円単位で揺れ動く。