『存在のない子供たち』両親を訴えた少年の真相と結末のその後

『存在のない子供たち』両親を訴えた少年の真相と結末のその後

『存在のない子供たち』両親を訴えた少年の真相と結末のその後の要点を詳しく解説してご紹介します。

物語の舞台は、中東レバノンの首都ベイルート。主人公の少年ゼインは、自分の正確な生年月日すら知りません。身分証が存在しないため学校に通うことも許されず、街角でジュースを売り、重いガスボンベを運びながら、貧しい家族の生計を支える過酷な労働に従事していました。

家庭環境は劣悪を極めていました。親としての愛情や保護を一切与えない両親は、処方薬のトラマドールを水に溶かして麻薬飲料を作り、幼い子供たちに密売の手伝いをさせていたのです。ゼインが命がけで守ろうとしていた11歳の妹サハルが初潮を迎えた際、彼は生理用ナプキンの代わりに自分の服を差し出し、大人に知られないよう必死に隠蔽を図ります。貧困家庭において、初潮は「結婚可能な商品」として売り飛ばされる合図を意味していたためです。

しかし、その抵抗も虚しく、両親は家賃の支払いと引き換えに、家主である商店主アサドへサハルを嫁がせてしまいます。絶望したゼインは家を飛び出し、あてもなく乗ったバスの終点で、エチオピア出身の不法就労者である女性ラヒルと出会います。ラヒルは身寄りのないゼインを自宅に匿い、ゼインは彼女が働く間、幼い息子のヨナス(1歳の赤ん坊)の世話を引き受けることで、束の間の人間らしい絆を築き始めました。

ところがある日、滞在許可証の偽造トラブルによりラヒルが治安当局に拘束され、突然帰らなくなります。電気も止まったスラムの粗末な部屋で、ゼインと赤ん坊のヨナスだけが取り残される事態に陥りました。ゼインはヨナスを生き延びさせるため、自ら違法な薬物ジュースを密売し、粉ミルクを買い与えながら必死に世話を続けます。しかし極限状態に追い詰められ、ヨナスを不法養子縁組のブローカーへ預けざるを得なくなりました。

身分証の取得費用を用立てようと自宅へ戻ったゼインを待っていたのは、妊娠による合併症を起こしながらも身分証がないために病院での受け入れを拒否され、命を落とした妹サハルの悲報でした。激しい怒りに駆られたゼインは包丁を手にアサドを刺し、刑務所に収監されます。そして獄中からラジオの生放送番組に電話をかけ、両親を法廷で告訴する決断を下します。

松本 悠斗
著者

松本 悠斗

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。