結論から言えば、事前の出口戦略を持たずに「とりあえず貯めて後から銀行へ持ち込む」スタイルは、明確に損をするリスクを抱えています。かつては小銭を窓口やATMに持ち込めば、手数料なしで額面通り預金口座に入金されるのが当たり前でした。しかし、各行が相次いで小銭の取り扱いを有料化したことで、貯金箱の重みはそのまま「手数料負担の重み」へと直結する構造に変わっています。
窓口業務を長年担当してきた大手行の行員は、現場の空気感を次のように明かします。「数十キロにも及ぶ硬貨の入った缶を窓口にお持ち込みになり、手数料表を提示した瞬間に表情を曇らせるお客様は後を絶ちません。機械での鑑査や人員コストを考慮すれば手数料化は避けられない施策ですが、お客様にとっては『自分の資産を預けるだけなのになぜ引かれるのか』という心理的ショックが大きいのが実情です」。
500円玉貯金箱の定番である「10万円貯まる缶」にはおよそ200枚、「30万円缶」には600枚の硬貨が入ります。仮に600枚をまとめて窓口へ預け入れた場合、金融機関によっては1,000円〜2,000円前後の手数料が差し引かれ、元本割れにも似た痛手を被ることになります。かつてのような無邪気な小銭貯金は、手数料体系の把握なしには成り立たない時代へと突入しています。