ネット上のまとめ記事やSNSの切り抜き動画を見ていると、「石破茂は単なるおもしろオタクのおじさん政治家」という矮小化されたイメージを抱きがちです。しかし、現場取材を続ける政治記者たちの間では、ネットの噂と実像との間に決定的なギャップが存在することが指摘されています。
最大の盲点は、彼が披露する「オタクネタ」の数々が、計算されたパフォーマンスではなく「対人コミュニケーションにおける不器用さの裏返し」であるという点です。永田町における石破氏は、派閥の領袖として議員たちと夜な夜な高級料亭で酒を酌み交わし、義理人情で仲間を結束させる「昭和型ボス政治家」とは対極に位置してきました。会食を好まず、議員宿舎に帰って一人で本を読み耽り、模型を組み立てる生活を長年続けてきたことが、「冷淡」「人望がない」と批判される原因でもありました。
つまり、ネットでバズる数々の奇行やおもしろエピソードは、政治的計算によって演出されたものではなく、徹底的に「個」の世界に生きるパーソナリティが公の場に露出した結果生じた摩擦熱なのです。この文脈を理解しないまま「ウケ狙いの炎上商法」と捉えるのは、ネット空間特有の浅薄な誤解と言えます。