きんぴらごぼうの仕上がりを左右する最大の分岐点は、加熱前の下ごしらえにあります。特に「きんぴらごぼうの切り方」と「アク抜き方法」には、古くからの思い込みによる誤解が数多く見受けられます。
繊維を断たない「マッチ棒切り」がシャキシャキ感の絶対条件
ごぼう特有の心地よい歯ごたえを残すためには、繊維の方向に沿って切ることが必須条件です。乱切りや斜め薄切りからの千切りではなく、以下の手順で揃えます。
- ごぼうを4〜5cmの長さに切り揃える。
- 縦に2〜3mm幅の板状にスライスする。
- スライスを少しずつずらして重ね、端から2〜3mm角のマッチ棒状に細切りにする。
包丁の背やアルミホイルを丸めたもので皮を軽くこすり落とす程度に留め、皮の直下にある強い香りとうま味成分を削り落とさない配慮が、仕上がりの香ばしさを決定づけます。
アク抜きは「酢水で1分」または「水にサッとくぐらせるだけ」
「ごぼうは水に長時間浸けてアクを抜く」という昔ながらの手法は、現代の調理科学においては推奨されていません。ごぼうに含まれるアクの主成分であるポリフェノール(クロロゲン酸など)は水溶性であり、水に10分以上さらすと旨味と香りが抜け落ちてしまいます。
変色を抑えつつ風味を残す正解は、切った直後に水または薄い酢水(水2カップに酢小さじ1/2程度)に1分ほどサッとくぐらせ、すぐにザルにあげて水気を徹底的に切ることです。水気が残っていると炒めた際に温度が下がり、食感がべたつく原因になります。