街から活気が消え、映画館が次々と休業に追い込まれる中、日本のカルチャーシーンに前代未聞の奇跡が起きた。吾峠呼世晴氏の漫画を原作とするアニメーション、劇場版「鬼滅の刃」無限列車編の劇場公開である。座席の間隔を空け、飲食も制限されるという極限の逆境の中で封切られたこの作品は、日本映画史のあらゆる記録を塗り替える興行収入400億円超という金字塔を打ち立てた。
日本映画製作者連盟の統計を振り返っても、壊滅的な危機に瀕していた映画産業において、同作が果たした経済的・精神的救済の意義は計り知れない。家族連れから映画ファンまでを劇場へと呼び戻し、「人と人との絆」を描いた物語は、孤立を強いられていた人々の心に強烈な希望の光を灯した。エンターテインメントには世界を救う力があることを、これ以上ない説得力で証明した瞬間だった。