伝説のフォークソングとして受け継がれる『プカプカ』。その誕生のきっかけは、大阪・ミナミに実在した伝説の喫茶店「ディラン」周辺の熱気あふれるコミュニティにあった。若き日の西岡恭蔵が、店に集う一風変わった仲間たちや、時代の風を全身で吸い込んでいたジャズシンガー・安田南の佇まいに強いインスピレーションを受けて書き下ろしたと言われている。
当時、まだ何者でもなかった彼らが夜な夜な集い、音楽や人生について語り明かした濃密な時間。タバコの煙を燻らせながら自由に生きる女性の姿を描いた歌詞は、単なるラヴソングの枠を超え、当時の抑圧的な空気に対する密やかな叛逆の詩でもあった。机の片隅で走り書きされたフレーズが、やがて日本のポピュラー音楽界に燦然と輝く金字塔になるとは、当時誰も予想していなかった。