映画史の金字塔である『蒸気船ウィリー』の米国著作権が保護期間の満了を迎えた出来事は、クリエイティブの世界に巨大な波紋を広げた。初期デザインのパブリックドメイン化に伴い、インディペンデントの映画作家やゲーム開発者による自由な再解釈やパロディが世界中で噴出。ある者はホラー作品へと転生させ、ある者はアングラなアート表現のモチーフとして活用するなど、まさに無数の実験が繰り広げられている。
しかし、本家たるウォルト・ディズニー・カンパニーは決して静観しているわけではない。現代的なデザインや特徴的なトレードマーク、象徴的な白い手袋と赤いパンツの意匠を商標権によって厳格に守り抜き、ブランドの根幹を揺るがさない鉄壁の防御網を敷いている。著作権のパブリック化と商標権の厳格な執行という二層構造のなかで、知的財産をめぐる新たなルールメイキングが進んでいる。