除籍通告を受けた当事者が直面する最大の現実的課題が、学歴の法的位置づけとキャリアへの打撃です。公的機関や企業の採用選考において、大学除籍後の最終学歴は例外なく「高卒(大学院除籍の場合は大卒)」となります。
これに伴い、除籍の就職活動への影響は極めて大きなものとなります。大卒以上を応募条件とする求人(オープンポジションや総合職採用)には応募資格を満たさなくなるため、書類選考の段階で弾かれてしまうリスクを覚悟しなければなりません。採用市場において「除籍」という文言は、規律違反や金銭的トラブルを連想させやすいため、採用担当者の警戒感を呼び起こす要因となります。
ここで多くの人が悩むのが、除籍の履歴書への書き方です。履歴書の学歴欄にどのように記載するのが適切なのでしょうか。法的な観点と人事の実務慣行を踏まえたポイントは以下の通りです。
- 「中途退学」と記載することが実務上の主流:除籍であっても、履歴書には「〇〇大学〇〇学部〇〇学科 中途退学」と記載することが一般的です。公序良俗に反する経歴詐称には当たらず、民間の採用実務において「在籍して途中で学籍を離れた事実」を指す表現として広く許容されています。
- 面接で事由を問われた際は正直に答える:「中途退学」と書いた場合でも、面接で「中退の理由」を深掘りされるケースがほとんどです。この際、「学費の工面が困難になり、除籍扱いとなった」と客観的な事実を誠実に説明する必要があります。虚偽の理由(病気や進路変更と嘘をつく)を語ることは、入社後の経歴トラブルを招くため避けるべきです。
- 懲戒除籍を隠蔽しての入社は内定取消リスクを伴う:前述の刑事事件等に伴う懲戒除籍である場合、単なる「一身上の都合による中退」と偽って入社すると、後のコンプライアンスチェック等で発覚した際に重大な告知義務違反(経歴詐称)として懲戒解雇の対象になり得ます。
また、大学を離れた後の証明書発行についても正しい理解が必要です。除籍者に対して大学は「退学証明書」を発行しませんが、代わりに除籍後の在籍期間証明書(大学にいつからいつまで在籍していたかを公証する書類)を発行します。企業の提出要請があった場合は、この在籍期間証明書を提出することで経歴の真正性を証明します。
さらに、除籍時の取得単位認定についても道は閉ざされていません。除籍前に正規の試験を経て認定された単位については、「単位修得証明書」として発行可能です。この単位は、後述する通信制大学への3年次編入や、他大学への再入学時に単位互換として活用できる重要な財産となります。