視聴者の最大の関心事であった「主人公・真壁陽子の復讐はどのように完結したのか」という疑問に対し、最終回(第13話)は息をもつかせぬ鮮烈な幕引きを用意していました。
陽子(稲森いずみ)が仕掛けた復讐劇のクライマックスは、不倫相手である若き令嬢・佐倉理央(優希美青)の実家で行われた会食の席でした。理央の父であり、夫・昂太(吉沢悠)の映画製作ビジネスの有力な出資者である佐倉徹郎の面前で、陽子は昂太と理央の継続的な不貞関係、そして理央の妊娠という決定的な事実を暴き立てます。
知性と社会的地位を武器に淡々と事実を突きつける陽子の前で、虚飾に満ちた昂太の化けの皮は一瞬にして剥がれ落ちました。激高した理央の父から即座に資金援助を打ち切られ、激しく取り乱した理央からも「気持ち悪い」と完全に拒絶された昂太は、映画監督としての将来も若い愛人も同時に失うことになります。
しかし、ドラマが描いた結末の真相は単なる「悪人の失脚」では終わりません。行き場を失った昂太は、一人息子の凪(宮本琉成)に異様な執着を見せ、親権を強奪しようと暴走します。自宅へ押し入り、陽子を暴力でねじ伏せようとする昂太の狂気的な姿を、他ならぬ息子・凪自身が目撃してしまうのです。父への軽蔑と恐怖を露わにした息子の「僕はお母さんと暮らす」という決定打により、昂太の精神は完全に崩壊しました。
すべてを失い、惨めに街を去っていく昂太の背中を見送った陽子。家と医師としての仕事、そして息子との生活を守り抜いた形にはなりましたが、ラストシーンに映し出されたのは勝者の歓喜ではなく、平穏を取り戻そうともがき続ける母子の静かな日常でした。傷跡の深さを隠さないビターな幕切れが、本作を安っぽいリベンジポルノとは一線を画す傑作へと昇華させています。