日本のCM史に名を残すキャラクターは数多いが、吉岡里帆が演じた「どんぎつね」ほど、視聴者の妄想と愛着を刺激した存在は稀だ。あざとい耳、ふっくらとしたマフラー、そして星野源との絶妙な距離感。あの絶妙な「日常の延長線上にあるファンタジー」は、どん兵衛の売上を牽引しただけでなく、彼女自身のキャリアを決定づけた。
しかし、契約終了とともに訪れた「どんぎつねロス」は深刻だった。ネット上では悲鳴が上がり、次の人選に対するハードルは天文学的な高さまで跳ね上がった。この巨大な遺産をどう引き継ぐか、あるいはどう壊すか。日清のクリエイティブチームの戦いはここから始まったのだ。