戦後最大の疑獄とされるロッキード事件。巨大な権力者が法の手によって引きずり降ろされた瞬間は、日本の立憲主義と司法の歴史における最大の転換点だった。巨額の資金工作、米上院外交委員会での証言、そして東京地検特捜部による電撃的な逮捕。あの夏の朝、日本中を駆け巡ったニュースの衝撃は今も語り継がれている。
発端となったのは、月刊誌『文藝春秋』に掲載された立花隆氏の徹底調査報道「田中角栄研究――その金脈と人脈」だった。権力の中枢にメスを入れた調査報道の威力と、それに呼応した検察の執念。最高権力者と司法が真正面から衝突したこの事件は、単なる贈収賄事件の枠を超え、国家の主権と民主主義の成熟度を試す一大ドラマであった。