日本の乳業文化の礎を築いたとされる人物といえば、森永製菓の創業者・森永太一郎が思い浮かぶ。欧米の栄養豊かな乳製品を日本人に届け、人々の健康を支えたいという彼の熱い理念は、百年の時を超えて今なお業界の根底に流れている。そして現在、その志を現代の市場に合わせて大胆に再構築しているのが、明治ホールディングスや雪印メグミルクといった大手乳業メーカーだ。
明治ホールディングスは、スーパーでは購入できない宅配専用の高機能ヨーグルトや特許取得の乳酸菌飲料を開発し、地域販売店への強力な武器として供給している。雪印メグミルクもまた、骨密度や睡眠の質に着目した専用商品を投入し、宅配ルートならではの付加価値を徹底的に高める戦略に出た。量販店での価格破壊に巻き込まれない「宅配専用ブランド」の構築は、街の販売店を守り、共栄共存を図るための強固な盾となっている。