油性ペンが滲む原因は、布地の毛細管現象にある。微細な繊維の隙間にインクの液体が吸い込まれ、横方向に広がってしまうのだ。これを防ぐ最も簡単で強力なプロの裏ワザが「描く前の一手間」である。
効果てきめんなのが、事前に名前を書く部分を水で湿らせ固く絞る方法だ。水分で繊維を一度満たしておくことで、油性のインクが広がる余地をなくす。半乾きの状態でペンを走らせるだけで、驚くほど輪郭がくっきりとした綺麗な文字が書ける。さらに、ヘアスプレーや無香料の固形石鹸を軽く下地に塗ってから乾かし、その上に書くという極意も有効だ。被膜がインクの沈み込みをシャットアウトする。
さらに「洗っても落ちない」状態を維持するには、書き終えた後の熱処理が決め手となる。ドライヤーの温風を数十秒あてるか、当て布をしてアイロンを数秒押し当てる。熱を加えることでインクの樹脂成分が布地の繊維にしっかりと定着し、毎週のゴシゴシ洗いにも耐える強固な名入れが完成する。