魘夢というキャラクターがこれほどまでに記憶に残る理由は、平川大輔による緻密な役作りと声の表情づけにある。他人の不幸を糧にする狂気的な性格でありながら、その発声はどこか耳に優しく、甘美な吐息すら感じさせる。まさに狂気と妖艶さが同居した「ハマリ役」と言えるだろう。
収録現場での演技秘話として、平川は単に叫んだり威嚇したりするのではなく、囁くようなトーンや息の抜け感、間(ま)の取り方に細心の注意を払ったとされる。相手を夢の世界へと誘う際の穏やかな声色と、計画が崩れた際に見せる歪んだ嫉妬や逆上とのコントラストは一級品だ。観客は一瞬にして彼の声の術中にハマってしまう。