AI診断アプリやオンライン診療が普及した現代の医療・ヘルスケア産業において、私たちは手軽に自症状のチェックを行えるようになった。しかし、利便性の裏で情報過多による迷いも増している。かつて「医療否定本」などで社会に一石を投じた医師・近藤誠氏の過剰な医療介入に対する主張は、多くの人々に「すぐに病院へ行くべきか、様子を見るべきか」という問いを突きつけた。
だが、急性期の症状において経過観察を過度に行うことは極めて危険だ。厚生労働省が公表している救急受診ガイドでも、激しい痛みや急速に悪化する腹部違和感に対しては、迷わず医療機関を受診するよう強く促している。現代における適切な姿勢とは、医療を過剰に恐れることでも放置することでもなく、リスクを正しく評価して必要なタイミングで専門医の門を叩く柔軟さにある。