お布施の準備が整ったら、渡す所作にも気を配る必要があります。お布施を手渡しで直に差し出すのは最大の作法違反とされています。
袱紗(ふくさ)の包み方と開き方
お布施を運ぶ際は、必ず袱紗に包んで持参します。弔事全般では「左開き」が原則ですが、お布施は僧侶への御礼であるため慶事用の「右開き」とする見解と、不祝儀袋の形状から「左開き」とする見解の双方が存在します。迷った場合は、現代の一般的な仏事ルールに従い「左開き(右・下・上・左の順に折り込む)」で包んでおけば失礼にあたりません。紫色や紺色の無地袱紗であれば、慶弔両用としてどのような場面でも活用できます。
【袱紗の開き手順と渡し方】
- 僧侶へ挨拶をするタイミングで袱紗を取り出す。
- 僧侶の目の前で袱紗を静かに開き、封筒を取り出す。
- 折りたたんだ袱紗の上に封筒を乗せる(切手盆がある場合はお盆の上に乗せる)。
- 僧侶から見て正面(文字が正しく読める向き)になるよう、時計回りに180度回転させて差し出す。
宗派による捉え方の違いと表書きの注意点
仏教の宗派によって、お布施の教義上の意味づけが若干異なります。
- 浄土真宗:「亡くなった人は即座に阿弥陀如来によって極楽浄土へ導かれる(往生即身仏)」という教えのため、故人の追善供養という概念がありません。お布施は「阿弥陀如来への感謝と教えを聞く機会を得たことへの謝意」として寺院に納めます。表書きは「御布施」で統一されます。
- 曹洞宗・臨済宗(禅宗):修行僧や寺院を支える「六波羅蜜(ろくはらみつ)の布施波羅蜜」の実践として位置づけられます。表書きは「御布施」が一般的です。
- 真言宗・天台宗・日蓮宗:読経供養や戒名授与に対する感謝の捧げ物として納めます。表書きは同様に「御布施」で問題ありません。
どの宗派であっても、表書きは原則として「御布施」または「お布施」と書けば間違いありません。「御経料」「読経料」といった表記は、読経を金銭で売買するようなニュアンスを含むため、寺院に対して失礼にあたる表現です。