私たちの体内には、外敵から身を守るための精緻な免疫ネットワークが存在します。しかし、何らかの原因でこのシステムが暴走し、自分自身の正常な細胞や組織を「異物」とみなして攻撃してしまう状態が自己免疫疾患(関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、クローン病など)です。また、他者から心臓や腎臓などを移植された際、身体が「自分のものではない異物」と認識して攻撃を仕掛ける現象を移植後の拒絶反応と呼びます。
免疫抑制剤の仕組みは、こうした免疫細胞(特に司令塔となるT細胞やB細胞)の増殖・活性化シグナルを分子レベルで遮断することにあります。攻撃命令を出すサイトカインの産生を抑えたり、リンパ球のDNA合成をブロックしたりすることで、過熱した免疫の暴走を安全なレベルまで落ち着かせるのがこの薬剤の根本的な役割です。