一般的な麺造りの常識では、加水率を高めることで喉越しやもちもち感を追求するのが定説だった。しかし吉岡氏の切り開いたアプローチは、その真逆を行く。限界まで水分を削ぎ落とした生地を、厳密に温度管理された専用の熟成庫で48時間休ませる。これにより、小麦本来の濃厚な風味と、歯切れの良さが極限まで引き出されるのだ。
カウンター越しに差し出される丼から漂うのは、スープの香りのみならず、茹で上がった瞬間に解き放たれる小麦本来の力強いアロマだ。一口噛みしめると、跳ね返るような弾力とともに、じわじわと広がる自然な甘み。麺そのものが主役であることを突きつける強烈な体験に、訪れた誰もが言葉を失う。