「天は自ら助くる者を助く(てんはみずからたすくるものをたすく)」という言葉の基本的な意味は、他人の援助をあてにせず、自分自身で懸命に努力を重ねる人に対してのみ、天(神や運命)の救いや道が開かれるという教えです。何もしないまま奇跡や他者の施しを待つ姿勢を戒め、自発的な行動の尊さを説いています。
では、この言葉は一体「誰の言葉」なのでしょうか。一般的に最も広く知られているのは、19世紀のイギリスの著述家サミュエル・スマイルズ(Samuel Smiles)です。スマイルズが1859年に著した世界的名著『自助論(Self-Help)』の冒頭に掲げられたことで、世界中に広まりました。
しかし、スマイルズ自身がこの表現をゼロから創作したわけではありません。イギリスの政治思想家アルジャーノン・シドニー(Algernon Sidney)の著作(1698年)や、アメリカのベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin)が編纂した『貧しいリチャードの暦(1736年)』など、近世ヨーロッパ〜英米圏の格言としてすでに定着していたフレーズを、スマイルズが自著の中心的テーマとして採用した経緯があります。